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※2020年11月の記事再録

しくじり王様リチャード二世

シェイクスピア

  今日の夕食後、Mrビーンがトム・ジョーンズの有名な曲に合わせて踊るMAD動画があったことを忽然と思い出した。だから何だという訳じゃないんだけどね。ところで、無関係な音楽と映像を合成した動画って、今は何て言うのだろう。そもそも、そういう類の作品、まだ作られてるのか? 一昔前なら、吉幾三のあの曲をマッシュアップした動画をネットで見た記憶があるのだが。

 前回『リチャード三世』に触れたので、秋のシェイクスピア・フェアー、今度は『リチャード二世』の話といこう。この王様、劇中では身勝手な判断を下し、叔父の遺領を召し上げて戦費の足しにしようとしたら、その地の相続に正当な権利を持つ従兄弟ヘンリーに謀反され、哀れ王位簒奪の憂き目にあう。そして、幽閉先にヘンリーが送り込んだ刺客によって殺される。以上が話のあらすじだ。イギリスでの一般的評価は知らないので、あくまで作品中の印象を語るだけなんだけれど、リチャード二世は俗に言う「王に相応しい思慮を欠く」人物として描かれている。

 されど諸兄よ、見捨てたもうな。ひとにそれぞれ美点あり。リチャード二世の物語る、己の不運と裏腹に、その言葉には軽妙な、機知と風刺の調べあり。玉座と栄光、王国を、奪われてなお心には、光まばゆき詩情あり。

「俺はまだ、俺の悲しみにとっては王のまま」 (意訳)

鏡を叩き割る場面や王妃に別れを告げる場面でのリチャードは、言葉の巧みさという点で文句なしに王様そのものだ。他の追随を許さない。ハードコア/ヘビーメタルで表現すると超絶技巧速弾きギターソロだ。よくこんなに舌が回るなと感心する。いや、音楽にたとえるとしたら、ロイヤル・ブリリアント・ソフィスティケイテッド・ラッパー。敵対者をdisるところなんか、最高に高貴にして過激だ。裏返すと、王の威厳を自ら損ない、軽佻浮薄のそしりは免れない振舞いで身を滅ぼした王だったとも言える。ある面から見れば王様失格。それでも、別の面から眺めたら王様らしい感じがする。何とも不思議な魅力のある人物だ。

 話は逸れるが、こういう現代人からすると感情移入しにくい人物を演じる時、役者はどんなこと考えてるんだろう。いや、リチャード二世みたいに実在の王様ならまだ手掛かりがあるだろうけれど、『神聖モテモテ王国』のファーザーみたいな王様を演じろと言われたら、

「そりゃームリってモンじゃぜ、オンナスキー」

 

 

 

 

 

 

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